・教員の退職って、手続きが複雑そう…
・退職の具体的な方法が知りたい
・退職までにやっておくことは?
- 教員を退職する時に必要な5つの手続き(退職届、退職金の請求、年金、健康保険、税金)
- 退職までにするべきこと
元小学校教員の私が、実際の体験を踏まえて解説します!
教員が退職するときに必要な5つの手続き
退職届
教員が退職するためには、退職届を提出しなければなりません。
前回の記事では、退職したいと伝える方法や退職までの手順を4つのステップで解説しています。
退職金の請求
退職金は請求をしないと受け取ることができません。事務の先生が書類を渡してくれるので、提出しましょう。
退職金は、退職した月の翌月までに入金されるのが一般的です。
例えば、年度末の3月に退職した場合は、翌月の4月の給料日に支払われます。
公的年金
退職すると、それまで加入していた厚生年金保険から自動的に脱退することになります。
そのため、自分の状況に合わせて国民年金に加入します。
①離職期間が1日でもある場合やフリーランスになる場合
自分で役所(国民年金課)に行き、国民年金に切り替えをします。
退職後、14日以内に手続きをしなければなりません。
納付は手続きの際にするのではなく、後日、納付書が送られてきてから、納付します。
令和5年度は、1カ月あたり16,520円です。
まとめて前払い(前納)すると、割引が適用されるので、お得です。
期間は、「6カ月分」「1年度分」「2年度分」の中から選ぶことができます。
口座振替で2年度分を前納した場合、16,100円の割引になる(令和5年度の場合)ので、
少しでも節約したい人は、前納することをおすすめします。
前納の場合、申し込みの期限があるので、先に確認しておくとよいと思います。
私の場合、退職後すぐに2年前納にしたかったのですが、2月末までの申請期限がすでに過ぎていました。そのため、最初は毎月納付をして、次に6カ月前納、その後2年前納というように、変更していきました。
- 手続き窓口:住所地の市区役所または町村役場
- 必要なもの:年金手帳などの年金基礎番号がわかるもの、加入していた被用者年金制度(厚生年金保険等)の資格喪失日を証明できるもの(離職票等)が必要になる場合がある
②退職後、すぐに別の会社に就職する場合
次の勤め先で手続きをしてくれるので、勤め先の指示に従ってください。
③家族の扶養に入る場合
自分で手続きをするのではなく、扶養に入る家族が手続きをすることになります。
健康保険
公立学校の教員は、地方公務員共済組合に加入しています。
退職に伴い、共済組合から脱退する必要があります。
そのため、退職後の状況に合わせて健康保険に加入しなければなりません。
①勤務先が決まっていない場合
勤務先が決まっていない場合は、3つの中から自分に合ったものを選んで加入します。
- 現在の共済組合を任意継続する
- 国民健康保険に加入する
- 家族の保険に入れてもらう
選ぶポイント
・国民健康保険の保険料と共済組合の任意継続の保険料を比べてみる
・退職後、一定の収入を超えないなら、家族の保険に入れてもらう
国民健康保険の保険料は、自治体や年収によって異なります。加入するためには、自分の住んでいる市区町村の役所で手続きが必要です。保険料を役所に問い合わせて確認しましょう。その際、収入が分かる源泉徴収票が手元にあるとよいでしょう。問い合わせて確認した国民健康保険と任意継続の保険料を比べて、どちらが自分に合っているかを考えます。
任意継続は2年間までできるので、翌年も同じように国民健康保険の保険料を問い合わせ、任意継続と比べて決めます。退職前の収入が多ければ任意継続、少なければ国民健康保険の方が安い場合が多いです。
私の場合は、退職後の国民健康保険の保険料が共済組合の任意継続の保険料に比べ、2倍近く高かったので、1年目は任意継続にしました。退職後、ほとんど収入がなかったため、2年目は、国民健康保険の保険料の方が安く、国民健康保険に切り替えることにしました。
1年目は任意継続、2年目は国民健康保険にするなど、自分に合った保険を選ぶといいですね。
【それぞれの保険について補足説明】
①現在の共済組合の任意継続
事務の先生から「共済組合の任意継続組合員申出書」をもらって提出します。
提出の仕方や期日があるので、事務の先生に確認して進めます。
②国民健康保険
退職日してから14日以内に役所で手続きをします。
その際、退職したことが分かる書類と身分を証明するものが必要です。
③家族の保険
家族の保険の種類によって異なるため、家族へ確認が必要です。
また、退職後の収入に制限があるため、扶養について調べてみてください。
②勤務先が決まっている場合
新しい勤務先の健康保険組合に加入します。
加入の手続きは、新しい勤務先が行ってくれるので、それに従ってください。
税金
住民税
教員の場合、毎月の給料から住民税が自動的に引かれていました。(1月~12月までの所得から算出した住民税を翌年の6月~翌々年の5月まで毎月の給与から差し引かれる「特別徴収」というしくみ)
退職後は、給与から差し引くことができません。
そのため、退職後の6月初旬ごろ、住民税の納税通知書が自宅に送られてきます。6月末日までに、納税通知書に記載された年税を、年4回均分納付か一括納付で納税します。
確定申告
確定申告が必要な人は「年末調整を受けていない人」
つまり、年末調整が行われる12月31日に学校や会社に勤めていなかった場合、その年の年末調整がされていないことになります。
例えば、3月に退職した場合、1月から3月までに支払った税金(勝手に引かれているもの)の払いすぎた部分が確定申告をすることで戻ってくるというイメージです。
退職時にもらう源泉徴収票の「源泉徴収税額」から戻ってきます。
さらに控除を足すと戻ってくる税金が増えます。
教員の時は、年末調整の用紙に「配偶者控除」「扶養控除」「生命保険料控除」などを記入したことを覚えていませんか。また「社会保険料控除」「医療費控除」「寄付金控除」なども合わせて、還付申告をすることで、税金が戻ってきます。
期日:2/16~3/15まで(還付申告は1/1から5年間申告できる) 前年の収入に対する申告を行う。
必要なもの:
①源泉徴収票(学校から前もって「1月から3月分の給与所得の源泉徴収票」が送られてくるので、大切に保管しておいてください。)
②各種控除証明書
③パソコンかスマホ(税務署で手続きする場合はいらない)
提出方法:
・国税庁のHPで申告書を作成→電子申告(e-Tax)か印刷して税務署に持参するか郵送するか
・税務署に行き、作成、提出
私は税務署に連絡をして必要なものを聞き、直接税務署に行って教えてもらいながら申請書を提出しました。確定申告の時期になると窓口が混むので、還付申告だけなら、1月から2月15日までに行くことをおすすめします。
確定申告をすると、還付金としてお金が戻ってくる場合が多いので、少し手間はかかりますが、申請してみてください。また、国税庁のHPに詳しくやり方が書いてあり、その通りに打ち込んでいくと、自宅からでも手続きをすることができます。
ここまでのまとめ
- 退職届
- 退職金の請求
- 健康保険(退職後すぐ14日~20日→選択したものによって異なるので注意!)
- 国民年金(退職後14日以内)
- 住民税(6月)送られてくる
- 確定申告(翌年の1月から2月中旬)
事務手続き以外で退職までにやること
引継ぎ
児童について
- 健康に関すること→アレルギー・服薬、身体的なことなどを養護教諭とも連携しながら
- いじめや不登校に関すること
- 特別支援に関すること
- 保護者に関すること
- 子ども同士の人間関係のこと→マイナスだけでなく良い関係も。
- 学校生活や学習での困り感、それに対する対応
校務分掌の引き継ぎ
次の担当者が必要な資料がどこに保存されているか分かるように、データで保存します。
学校ごとに異なりますが、共有フォルダに日付や行事名などを入れて分かりやすく保存するとよいです。
「20230530運動会」のように半角数字で日付を入れると、日付順にフォルダが並ぶので、管理がしやすくなります。
教室やロッカーの片付け
次の人が気持ちよく使えるように、掃除をしっかりとします。自分の持ち物が残っていないように、片付けをします。
再就職の情報を集める、転職活動
教員のうちに始める
退職を考え始めたら、まずは転職エージェントに登録しましょう。
教員のうちに転職サイトに登録しておくことをおすすめします。
なぜなら、転職に必要なことの全部を完全無料でサポートしてくれるからです。
転職エージェントに登録すると、担当者が付いてくれます。
- 自分の強みを客観的に理解できる
- 条件に合った求人を探してくれる
- 履歴書などを添削してくれる
- 転職までの日程調整や会社とのやりとりをしてくれる
教員の多くは、民間企業への就職活動を経験していないと思うので、こうしたサポートを受けながら転職活動をすることで、見通しをもつことができます。
教員のうちに登録することをおすすめする理由は、退職後に転職活動を始めてしまうと内定が決まらないと焦ってしまい、本来自分が希望するものとは異なってしまう可能性があるからです。
私は辞めたいと思った時に登録をしました。求人を見るだけでも、「教員辞めても、選択肢はたくさんある!」と思って安心しますし、自分の将来をイメージするのに役立ちました。
- マイナビエージェント
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- リクルートエージェント
point :転職エージェントは3社登録しよう
最初の登録は、少し手間がかかりますが、3社は登録しましょう。
転職エージェントによって強みが異なり、登録されている求人も異なります。
また、サポート体制や担当者との相性も様々です。
「ミイダス」で適正検査を受けると、自分を知る手助けになります。自分を知ることで、転職の軸が明確になります。主に2つの診断が自分を知る手掛かりになります。
①コンピテンシー診断
- 適正が高い職種・適性が低い職種
- 必要とされる能力要素
- マネジメント資質
- 上司との相性
- ストレスに感じやすい活動・条件・環境
②パーソナリティ診断
- 生まれ持った個性
- 今のコンディション
個性の生かし方やコンディションを向上させるためのアドバイスもしてくれます。
教員を辞めようか悩んでいる人も、ミイダスを利用して自分を知ることで、教員という仕事と向き合い、自分をうまく生かしながら教員を続ける道に進むか、自分に合った職業を選び直すかを決めることができます。
まとめ
教員が退職するときに必要な5つの手続き
①退職届
②退職金の請求
③健康保険(退職後すぐ14日~20日→選択したものによって異なるので注意!)
④国民年金(退職後14日以内)
⑤税金…住民税(6月)送られてくる、確定申告(翌年の1月から2月中旬)
事務手続き以外で退職までにやること
・引継ぎ(児童・校務分掌・教室)
・再就職の情報を集める、転職活動
この記事を読んで、少しでも退職に向けて、見通しをもつことができたら幸いです。
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